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30代会社員。人生を一歩ずつ、歩いています。

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守りのリーダーシップで組織を守る(折れないリーダーの仕事-書評)

もしあなたが、魔法の答えを求めているなら、本書で言うところの第2段階から第3段階の疲労が蓄積している状態だ。そういった人には、本書を読むことを勧めない。もっといい使い方がある。本書を枕に、寝ていただくことだ。

年末年始に時間があったので、ちょっと話題になっていた本を読んでみました。ろくに推敲もせずに本記事を投稿しましたが、そのぶん生の感想ということで。

なぜ読んだか

職場の仕事が忙しくなってきており、自他ともに疲弊しているようなメンバが多くなってきたように感じるから。自身はリーダ職階ではないが、なにか参考になる考え方はないかと思って読んだ。

本書の大きなテーマ

勝つための組織の作り方ではなく、すでに疲弊しているメンバが半数以上となってしまった組織を維持するためのリーダーシップについて書かれた本。

勝つための組織ではメンバの能力をどう引き出すかが重要視されるのに対して、負けない組織ではメンバの疲労を心身ともにコントロールして脱落者を出さないようにするための方法論が重視される。

なお、なぜ筆者が負けない組織の作り方を重視するようになったかというと、自衛隊(=負けてはいけない組織)の出身であるから。

とにかく疲労を溜めないこと、疲労を回復させることに重点を置き、できるだけ長い期間、同じパフォーマンスを維持するための考え方が提示される。

逆にいうと、組織がイケイケどんどんな雰囲気にあって、モチベーションに満ちている組織を率いる場合には参考にならない可能性が高い本。
そして状況を主体的に打破するための考え方ではなく、ひたすらに長期戦をなんとか耐え抜くための考え方が示される。

こう書くとかなりネガティヴな状況下で、地道に耐え忍ぶための方法しか書かれていないように思えるが、極論その通りなのだ。
疲労状態にある組織でできるのは、知恵と工夫を凝らして現状を維持することのみ。根本的な解決は外部要因に頼るしかないという状況が本書の想定です。

現代の会社組織では人出不足に起因する疲弊状態が常態化している職場も多いのではないかと思う。いつ負けないためのリーダーシップが求められるか分からない時代だからこそ読む価値のある本と思います。

防御と聞くと、単に攻撃され打ちのめされる状態をイメージするかもしれないが、そうではない。防御は、時間を得るための戦術だ。つまり、耐えている時間に意味があるのだ。

疲労コントロールのためのテクニック

・温かい食事・良質な睡眠・水分補給を意識する
・デスクワークではこまめに休憩を挟んだ方が効率が良い
・疲労回復期間を業務予定にあらかじめ組み込む
・耐える期間は最長2年間と考える

仕事を切るためのテクニック

・仕事の企図と確立を明示して、どこまで頑張るかを示す
・第2段階の疲労状態の組織で遂行できる業務量は、通常状態の3分の1と見積もる
・「鍛える」のは疲労度が少ない時にやること

リーダーが情報を伝えるためのテクニック

・仕事のプロセスを部下に任せるのは疲労度が少ない時のみ。疲労した組織では頻繁に上意下達の情報提供を行う
・他のメンバがいる状況で個人への命令を行う

共感できたところ

いわゆる「頑張って乗り切る」はストレス状態が中程度までは非常に有効な考え方。ただし高度なストレス状態にさらされている時には、逆効果。

本書では、疲労を三段階に分けて解説している。これは筆者が提唱するもので、医学的な裏付けが紹介されているわけではないです。また、本書の多くのページは第2段階疲労状態にあるメンバが半数以上を占める組織の率い方について書かれている。そして、負けない組織を率いるためには、疲労を第2段階で食い止めることが肝要。そのためにもリーダーには「仕事を切る」ことが求められる。

第1段階…ぐっすり一晩眠れば、疲れが取れる。

第2段階…一晩寝ても回復しきれない。イライラ・不安が常にある。同じ作業であっても、第1段階時より疲労度を高く感じる。

本書の第1章で、第2段階に陥ったメンバーの特徴について具体的に記載されているので、このページだけでも参考になると思います。リーダーの立場だけではなく、自身の心身状態がそうなっていないか?という視点でのチェックができるので。

第2段階の疲労レベルではまず休息が必要なので、スポーツや旅行でリフレッシュしようとしても逆効果になることが多い。それらで回復できるのは、第1段階の疲労レベルのとき。

第3段階…心身に病気症状があらわれる。うつ病や胃潰瘍など。

疲労回復の鉄則は、温かい食事・良質な睡眠・水分補給の3つ。特に睡眠は8時間取ることが望ましい。
そのため、第2段階の疲労レベルのメンバに対しては出来る限り休息を取らせることが理想。それができなければ、せめて温かい食事と良質な睡眠を意識的に確保させるべき。

仕事を切るときは、適時性・先行性・並行性・完全性の優先度で考える


共感できなかったところ

・第2段階の疲労レベルを耐えるのは最長2年間と捉える
→現代において2年間は長すぎるかな、と思います。個人的には18ヶ月ですね。

勝つためではなく、負けない組織を作るために。

次に読みたい本

できれば同じテーマの本は2冊以上読んで、意見の違いや同じ部分を比べてみたいと考えています。そういう意味では以下の本が気になっています。

今年は仕事が忙しくなりそうな1年なので、仕事に関する本を読んでみました。また良さそうな本があったら書評を書きます。

ではでは。