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30代会社員。人生を一歩ずつ、歩いています。

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無響室を体験するには新宿のICCがオススメ

無響室(むきょうしつ)をご存知でしょうか?ざっくりいうとすごく静かな空間のことです。

音の大きさはデシベル(db)で表しますが、図書館だとだいたい40dbと言われていて、静かな空間のギネス記録はあのMicrosoft社が設備として保有している-20.6dbの無響室だそうです。

人の可聴域の下限は0dbなので、じっとしていると体内から発せられる音しか聞こえない、ということでしょうか。

なぜそんなに静かなのか?

ふつう、部屋には反響音というものがあります。自分が発した音やテレビの音はそれだけが自分に届くのではなく、部屋の様々な物質に反響して、その音も我々は聴き取っているわけです。

無響室はそういった反響音が発生しないように工夫された空間です。つまり反響音がないということは、超ざっくりいうとすごい静かということです。

今回はそのすごく静かな空間を体験するために、新宿にあるICC(インターコミュニケーションセンター)へ行ってきました。日本国内で気軽に見学できる無響室は、東京にあるインターコミュニティセンターの常設展示だけです。

ちなみにICCは毎年展示内容を入れ替えているようで、今回の展示期間は2017年5月2日〜2018年3月11日となっています。もしかするとそれ以降は無響室を体験できなくなるかもしれませんので、気になる方はお早めに!
※2018年3月11日より展示替えで休館中です。次回の展示再開時期は、公式サイトによると6月2日(ど土)からとなっています。

残念ながらどのくらいの性能なのか、無響室の数値的なスペックは分かりませんでしたが、この摩訶不思議な空間を体験したい方はぜひ行ってみて下さい。

ICCへのアクセスは新宿駅から

ICCはNTT東日本が運営する、テクノロジーを活用したメディア・アート作品を中心に展示を行う施設です。オープンスペースと企画展示に分けられており、オープンスペースは無料で見学できます。

無響室もオープンスペースにありますので、無料で体験できますよ。所在地と詳しいアクセスはページの最後に書いておきますので、ご参考までに。

無響室を体験するまで

ICCは新宿オペラシティタワーの4階と5階にまたがっています。4階にわかりやすい受付があり、最初にそこで案内図をもらえます。手荷物は小さめのコインロッカーがありますので、預けていくと見学の邪魔になりません。
ICC内のコインロッカーはこんな感じ

無響室は写真の★マークの箇所です。
ICC内のマップ

無響室の体験には予約が必要となります。予約といっても簡単なもので、展示場所に直接向かって整理券を受け取るというものです。

無響室の前にスタッフの方がいるので、話しかければ予約できます。Webなどからの事前予約はできません。

ちなみに僕が体験した時の整理券は30番、待ち時間は15分くらいだったので、休日でもあまり待たずに体験できると思いますよ。


また、整理券の配布前に注意事項が書かれた紙を渡されます。実はこの無響室は入室だけでなく、アーティストevalaさんが編集された音源を体験できるという展示内容となっていまして、用意されている5曲の中から1曲を選ぶことができます。

ラインアップはこちら。僕は5番のGlass Harmonicaを選びました。
①Our Muse(2017年展示期間用の新作)
②Otocyon Megalotis
③Otocyon Megalotis #2 "Chafe"
④Kugiuchi & Water Bottle(楽器演奏)
⑤Glass Harmonica(楽器演奏)

だいたい7分ほどの曲が流れている間、室内の照明が落とされるので本当に真っ暗になります。暗所/閉所恐怖症の方は体験できないことや、まれに体験中に気分が悪くなる方がいらっしゃるため、備え付けの緊急ボタンを押せば体験中止できるといった内容が書かれたものです。

この内容に了解すると、整理券を発行してもらえます。

いざ入室

整理券には体験開始時間が記載されていて、開始5分前には展示前に戻ってくるように言われました。

ぐるっと館内を見回ってきたのち時間になったので無響室前に戻ると、事前に説明のあったとおり5曲のうちから1曲をスタッフの方に伝えて、いよいよ入室です。


スライド式のドアを開けると、4−5段ほどの階段とちょっとした手荷物を置くラックがあり、その先のドアが無響室の入り口です。薄暗く、スタッフの方が足元をライトで照らしながら先導してくれました。

無響室の入り口をくぐると、それまで少し聞こえていた環境音がサッと引いていくのがわかります。室内は淡いオレンジの照明で、ぼんやりと見渡せます。中央に椅子が一脚と、それを囲むように立てられたスピーカのようなものが4本ありました。

↓イメージ図↓

ICCの作品案内ページから引用

スタッフの方に椅子に座るように指示を受け、緊急ボタンの場所と、体験開始後は消灯するため本当に真っ暗になることの説明を受けます。

改めて了承すると、スタッフの方が退室したのち、だんだんと照明が落とされていきます。

この時点でちょっと指を鳴らしてみましたが、さすがに完全な静寂とはならないようで、普通に音は聞こえました。


その後、スピーカから音楽が流れだし、6分ほどその状態が続きました。このときの感覚・状態はなんとも形容しがたいのですが・・・強いて言えば身体の境界線があいまいになる感じでしょうか。




音楽が終わってしばらくすると照明が戻ってきて、スタッフの方が迎えに来てくれます。入った時と同じように先導されながら、退室して体験終了となります。

体験してみた感想

今回の無響室は、音楽作品展示のいち要素かなーという風に感じました。それでも、入室した直後の妙な感覚は一度入ってみないと伝わらない気がします。

さすがに自分の心臓の音や、関節がきしむ音(要は体内からの音)だけを聞き取ることはできませんでした。まあ無響室内でスタッフの方の説明を聞き取れてるわけですから、そんなもんだと思います。

体験中はほんとうに真っ暗で、少しの明かりもないので暗闇に目が慣れるということがありません。だんだん平衡感覚がなくなる感じがしたので、あの空間で立ちっぱなしはできないかもしれません。

そもそも無響室って何に使うんだ?

さて、そんな反響音がまったくないすごく静かな空間・無響室ですが、いったい何が目的なのでしょうか?

ちょっと調べてみたところ、マイクやスピーカなどの製品開発の際に、その製品自体から発せられる音量がどのくらいなのか、指向性はどうか、といったことを厳密に調査するために使うみたいです。

なので、音響機器を開発している企業や大学などの研究機関には備え付けられているかもしれませんね。

無響室の設計についてはこちらの企業の記事が詳しかったです。

ちなみに、ICC以外にも静岡の企業が一般公開を行っているようです。

ICCヘのアクセスは新宿駅か初台駅から

所在地



東京オペラシティタワー4F
JR「新宿」駅から徒歩12分、あるいは京王新線「初台」駅から徒歩2分です。


開館時間



11:00-18:00


休館日



月曜日(月曜が祝日の場合翌日)
年末年始
保守点検日(8月第一日曜日,2月第二日曜日)
展示替え期間


入場料



オープンスペースは無料(無響室はオープンスペース)
そのほかの企画・展示は有料

メディア・アート空間ICCへ行ってみよう!

今回のまとめです。
・無響室内でも音はちゃんと聞こえる(自然発生的な環境音はほんとうにない)
・でも真っ暗な中で音楽を聞かされると、自分の体がどこまでかわからなくなってくる
発狂はしなかった!(ここ大事)

ICCには無響室以外にもメディア・アート作品がたくさんあります。1時間もあればまわりきれそうなこじんまりとした施設なので、お時間があいた方は立ち寄って見てください。

最後に、ICC無響室の展示について解説を引用しておきます。

無響室は,部屋全体が音の反響を吸収してしまう素材で囲まれています.

わたしたちは通常,周囲の空間の広さなどを音の反射によって把握しています.


しかし,この音の反響や反射がなく,外部の音からも遮断された特殊な空間では,自分の位置を空間の中に定めることができない状態になるため,音響的には空間の中に宙吊りになっているのと同じことになります.


無響室に入ると圧迫感や不安感などが体験されるのはそのためです.また,その空間の性質を利用して,音を媒介とした聴取者と環境との関係を人工的に作り出す実験が行なわれています.


ではでは。



不定期に、イベントや展示に行ってきた記事を書いています。よければこちらもどうぞ。

広島にある、野生のウサギで有名な「大久野島」のレポートです。
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デザインフェスタというオリジナル作品展示会にも行っています。
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国立国会図書館に行ったことはありますか?意外と居心地の良い空間です。
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